こんにちは、中田大貴です。先日、同門の和術慧舟會HEARTSの先輩である江藤公洋選手がDEEPという団体のタイトルマッチで見事ライト級のベルトを獲得する事が出来ました。
その日は同じく同門の魚井フルスイング選手と木下カラテ選手の試合もあり、私は木下カラテのセコンドで帯同したのでチームとして一緒に試合に臨みました。
格闘家にとって、チャンピオンベルトを獲得するという事は、今まで自分がやってきた事が世間の目に見える形で結果として残す事が出来ます。チャンピオンになれるのとそうでないのは大きな差があります。
格闘家を引退した後でも元チャンピオンという肩書きを使って他に仕事が出来たり、世間に認知してもらえる事が出来ます。ただでさえ世間には様々な格闘技や団体が存在し、日本チャンピオンや世界チャンピオンなんてゴロゴロいますし、一般の方からしたらチャンピオンでなかったら、じゃあ弱かったんだねなんて思われてしまっても仕方はありません。
江藤公洋選手はレスリングで大学選手権を制覇し、プロデビュー戦でムエタイの元チャンピオンをレスリングのタックルで寝かしボコボコにやっつけてしまう程に強く、我々のコーチの大沢ケンジさんも彼はもしかしたら世界を獲る逸材かもしれないと最初は思ったそうです。
しかし選手として試合を重ねるうちに、中々大きな結果を出せない時期が続きました。なぜなら、練習ではいつも強い江藤選手でしたが、試合前に緊張してしまい中々いつも通りの良いパフォーマンスが出せないという状態に陥ってしまったのです。
スポーツ選手によくありがちな話ですが、結果を残さなければならないというプレッシャーや、失敗をしたくないというプレッシャーは全てのスポーツ選手が戦わなければならないものです。ましてや総合格闘技は実際に相手を殴り蹴り、投げたり、関節技や締め技などもある、とても危険なスポーツなのでそもそもこのスポーツをやるというだけでも様々な恐怖心と向き合わなければなりません。
正直、試合前にどうしても上がってしまう彼の癖を見た私も、これから彼がより大きな結果を出していくのは厳しいんじゃないかと思った事もあります。周りからも、彼は練習では強いけど本番には弱いよねという評価が常につきまとっていました。しかし彼は周りに何を言われようが、日々努力を積み重ね少しずつ結果を残せる様になってきました。
特にお子さんが産まれてからは、普段の顔つきも試合の内容にも大きな変化があった様に思えます。人は守るものが出来たら大きく変われるチャンスが訪れるのかもしれません。
そしてここ3年の間に5連勝を重ね、遂にタイトルマッチの権利を得ました。相手もとても強い選手で、試合も危ない場面もありましたがしっかり相手を仕留めてタイトルを獲得する事が出来たのです。
彼が苦しんでいる時期や、毎日頑張っている姿を自分も間近で見てきたので、タイトルを獲った瞬間はまるで自分の事の様に嬉しかったです。
人はそれぞれ自分の弱さや苦手な事があったりします。周りに指をさされネガティブな事を言われたり、長く続く苦しい事から逃げたくなってしまう事もあると思います。しかし、自分を信じて諦めず日々努力を重ねば必ずチャンスは訪れるし、それを手にする事だって出来る事もあるんだと、その日改めて学びました。
人生大変な事も多いですが、諦めずに頑張れば必ず良い事があるんだと、信じて生きようと思います。
中田大貴